簡単な技術分野の特許出願は、安価な10万円で出願します。  ー中小企業等の方必読ー  

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特許の知識

*気を付けないと

 1.貴社が画期的なアイディアを思いついたとします。 それを検討などしてもらうため、他社に披露したとします。 その後商品を製造、販売していたところ、その他社が特許権を取っており、 なんと、貴社に販売するなとの警告をしてきたという話が、結構あるのです。

  2.対策としては、事前にそのようなことを禁止する契約書をかわすべきです。

  しかし、なかなか力関係で出来ないことが多いですが、その場合は少なくとも、万一に備え、他社に打診や披露する前に、出願をしておくべきです。審査請求は後でも出来ます。

  3.なお、共有とする折衷案はお進め出来ません。共有の特許権はその利用に大きな制約が掛かりすぎますから。 力関係が弱いときは結局、思うようなビジネスは出来ない可能性があり得ます。

*早期審査について

 早期審査とは通常の審査より早く着手する制度です。 早期審理とは通常の審判より早く着手する制度です。

1.早期審査・早期審理を申請するメリット

 通常の審査・審理に比べて、審査結果・審理結果を早く得ることができます。 早期審査を申請した出願の平均審査順番待ち期間は、早期審査の申請から平均約1.9か月となっており(2012年実績)、通常の出願と比べて大幅に短縮されています。

  また、早期審理を申請した場合には、申請後、審理可能となってから平均3.3か月で審決を発送しています(2012年実績)。

2.早期審査の対象になる出願

(1)実施関連出願

(2)外国関連出願

(3)中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願

(4)グリーン関連出願(詳細は、「グリーン早期審査・早期審理」の試行開始についてを御覧ください。)

(5)震災復興支援関連出願(詳細は、震災復興支援早期審査・早期審理を継続しますを御覧ください。)

(6)アジア拠点化推進法関連出願(詳細は、「特許出願の早期審査・早期審理ガイドライン」の改訂(アジア拠点化推進法関連出願の追加)についてを御覧ください。)

  早期審理の対象になる審判事件につきましては、特許出願の早期審査・早期審理ガイドライン(PDF:502KB)を御覧ください。

3.早期審査・早期審理を申請できる者 早期審査については、出願人、または、その代理人 早期審理については、審判請求人、または、その代理人

4.早期審査・早期審理に必要な手続

(1) 早期審査の申請をするには、「早期審査に関する事情説明書」、早期審理には「早期審理に関する事情説明書」の提出が必要です。事情説明書には、書誌事項のほか、早期審査または早期審理を申請する事情、先行技術文献の開示及び対比説明などを記載する必要があります(一部、例外があります。詳細については、早期審査・早期審理ガイドラインを御覧ください。)。

(2) 特許庁に対する手続は無料です(通常の審査請求料等はかかります。)。

   (以上特許庁から一部引用)

 

 

*特許制度の目的

 そもそも特許制度の目的とは何でしょうか?

 発明した人を保護すること?

 会社を保護すること?

 それとも発明技術を利用する一般消費者の利益を守ること?

 特許制度で認められた特許法の目的とは、

 「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与すること」(特許法第1条)です。

 発明はアイデアなので、テレビなどのように目に見えません。テレビや冷蔵庫などでしたら、我が家において守ればその所有権は大丈夫です。

 しかし、目に見えない情報という形で、誰かに知れ渡ると、もうどうすることもできません。秘密を洩らしたらだめといわれるゆえんです。

 そのため、目に見えないアイディアですから、制度により保護が必要です。

 そうでなければ、発明者は他人に盗まれないように、一切そのアイディアを人に知られることを防止しなければなりません。

 しかしそれでは、発明者自身もそのアイディアをもとに、優れたテレビや冷蔵庫を作ることはむつかしいです。

 また、同じアイディアであるにも関わらず、第3者が知らず知らずに同じようなアイディアについて、無駄な研究や投資をするかもしれません。

 そこで、特許制度は、発明者に、その人のアイディアを公開する代わりに、特許権という独占権を与えることとしてます。

 そして、その公開されたアイディアを第3者がみて、無駄な投資はしなくなります。

 また、独占権によって、発明者は自分のアイディアを保護することができるようになります。

 このようにして、技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものです。
 

*特許の保護対象

 特許が保護する対象は次のとおりです。

 すなわち、発明を保護することは当然ですが、その発明とは何かということがポイントです。特許法は厳密に、その「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義し、更に、産業上利用できる発明とします。

 各用語などについて説明します。

(1)自然法則を利用:
「自然法則」とは、自然界において経験的に見出される科学的な法則です。
 更に、「利用した」発明でないとだめです。

 その結果、自然法則自体は不可となります。例えばニュートンの法則などはだめです。数学の公式などもだめです。

 また、「発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者」つまり、当業者といわれ る人が、それを反復実施することにより同一結果が得られること(反復可能性)が必要です。

 追試が重要ということです。STAP細胞など追試が出来なくて問題となった。

 さらに、永久機関のように自然法則に反するものなども駄目です。
 さらになお、ここはむつかしい点ですが、一部に自然法則を利用していない部分があっても、全体として自然法則を利用していると判断されるときは、OKです。

(2)技術的思想である:
 「技術」とは、一定の目的を達成するための具体的手段であって、実際に利用でき、知
識として客観的に伝達できるものをいいます。

 すなわち、この点で、個人の特技などの技能はだめです。客観的に伝達できないものは産業の発達の役に立ちにくいからです。
 したがって、フォークボールの投球方法等の個人の技能によるものや、絵画や彫刻など
の美的創作物は駄目です。

(3)創作:
 「創作」とは、新しいものを創り出すことをいいますので、何も作り出さない「発見」
は駄目です。したがって、天然物の単なる発見などは、特許法上の「発明」になり
ません。

(4)高度のものであること
「高度のもの」は、ほとんど意味はありません。

 

*産業上の利用性

特許として許可されるには、

 産業上利用することができないとだめです(特許法第29条第1項柱書)
 これは、本来特許法は産業の発達が目的ですから、ただ単に学術的・実験的にしか利用することができない発明は駄目です。
 ただし、ここにおける「産業」とは、工業、農業などの生産業だけでなく、運輸業などのサービスなど、生産を伴わない産業も含む、広い意味での産業です。

 従って、あいまいになるのはやむを得ません。

 例えば、人を手術する方法、人を治療する方法、人を診断する方法などは駄目です。

 医療業界が業ではないという論法ですがいささか無理があります。

 むしろ、発明として認めて、医者の手術、治療、診断行為には特許権は及ばないとした方が良いと考えます。

 なお、医療機器や医薬自体は、方法発明でないので可能です。

 また、業として利用できないものも駄目です。

 喫煙方法は駄目です。業として喫煙する人がいれば別ですが。

 

*新規性とは

 特許として許可されるためには、新規性が必要です。(特許法第29条第1項)

 よく誤解されますが、発明者自身が公開してしまった場合でも、新規性は喪失されます。要注意です。

 すでに知られている発明に独占権を与えることは害があるからです。

 特許法では、どのような場合に新規性を失うかを明確に定義しています。

 でないと混乱するからです。

 次に該当する場合は特許を受けることができません。
 ① 特許出願前に日本国内又は外国において公然と知られた発明
 例:テレビで放映、発表
 ② 特許出願前に日本国内又は外国において公然と実施をされた発明
 例:店で販売、製造工程における不特定者見学
 ③ 特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明や電
気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
 例:日本国内又は外国において公表された特許公報、研究論文、書籍、CD-ROMなどに掲載、インターネット上で公開

 A.公然とはどういう場合か
 公然とは一般的に知れわたった状態をいいますが、ここでは発明者又は出願人の
ために秘密にすべき関係のない人(これを「不特定人」といいます。)に公になること
をいいます。この場合、不特定人の多い少ないは関係ありません。

 2,3人に喋った場合でも、公然となります。また、守秘義務がある1000人の人に喋った場合は公然とはなりません。

 常識的とは少し違います。

 また、よく間違い易いことは、自分が行った発明は、自らの手で特許出願前に「公然と知られた発明」又は「公然と実施をされた発明」となっても特許を受けられると誤解している人がいますが、たとえ自分から「公然と知られた発明」などにしてしまった場合でも、世間一般の共有財産と見做されてしまい、「新規性」がないものとして特許を受けることができません。

 よくよく注意すべきです。自分の発明が商売になるかどうか知りたいので、第3者に評価してもらいたいところですが、そのような場合でも秘密を守るべき約束をしたうえで、喋ることが必要です。

 しかし、なかなかそのような約束がしにくいので、先に特許出願することが肝要です。

 B.時期がポイント
 「新規性」があるか否かは、出願の時点で判断されます。出願した日だけでなく、時・
分も問題となります。したがって、午後にある発明を出願しても、その日の午前中に行
われた学会で他の研究者によって同じ発明が発表されていた場合には「新規性」はあり
ません。厳しいといえます。

 その時点より前に、発明の内容が知られている場合は新規性無いとして許可されません。例外はありますが
 現に特許出願されている出願の多くは、すでに知られている発明であるとして拒絶される場合が結構あります。
特許出願をするときには、特許を受けようとする発明に「新規性」があるかどうか、事前に十分調査することが大切です。

 そのためには、特許庁の電子図書館などで調べることが重要です。

 

*新規性の例外

 発明の売れ行きを確かめるため、発明を公開してしまった場合、手遅れになることが多いですが、例外があります。すなわち特許制度では、たとえ新規性を失った場合でも、例外的に救済する制度がある―新規性喪失の例外(特許法第30条)

 すなわち、発明者(特許を受ける権利を有する者)の行為に起因して公開されて新規性が失われたとしても、例外的に救済が受けられる場合があります。
 ただし、非常に厳しい条件を満足させる必要があります。
 1.日にちの条件

 公開された日から6月以内に出願をしなければなりません。

 2.手続きの条件

 その出願をする際、例外規定の適用を受けたい旨の書面を特許出願と同時に提出(又は願書にその旨を表示)しなければならない。

 さらに、その出願日から30日以内に公開の事実等を証明する書面を提出しなければなりま
せん。

 3.この「証明する書面」については、特許庁ホームページの「発明の新規性喪失の例
外規定の適用を受けるための手続について」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kiju
n2/hatumei_reigai.htm)を参照して下さい。

 4.ただし、本制度は、あくまでも特許出願より前に公開された発明は特許を受けることが
できないという原則に対する例外規定に過ぎません。

 つまり、例外適用を受けることによっても、公開時点まで出願日が遡及するわけではありません。

 仮にこの例外適用を受けて、出願前に公開した発明について出願したとしても、例えば、第三者が同じ発明について、出願日より前に特許出願していた場合や、出願日よりも先に公開していた場合には、特許を受けることができません。

 従って、出願日が遡及することはありませんから、例外適用を利用できると言っても、出来るだけ早く出願をすることが重要です。

 要するに、自らの公開行為によって自分の出願が潰れることを防止するに過ぎません。第3者から逃げるわけにはいきません。

 
 また、外国にも同様の例外規定が設けられていますが、海外への出願を予定している場合には、各国の発明の新規性喪失の例外規定にも留意する必要があります。

 各国の国内法令によっては、自らが公開したことにより、その国において特許を受けることができなくなる可能性もありますので十分にご注意ください。
 つまり、外国の制度と、日本の上述した例外制度とが同じとは限らないからです。

 例えば自らが起因となるケースの例示は、

○試験を行う
○刊行物に発表する
○インターネットで発表する
○集会(学会等)で発表する
○展示会(博覧会等)へ出品する
○販売する
○記者会見する
○テレビ・ラジオで発表する 等

 これらに限られません。

*進歩性について

 発明は新規な必要がありますが、それだけでは不十分であり許可されません(特許法第29条2項)。

 つまり、すでに知られている発明をちょっと変更したようなアイディアでは、特許は認められません。

 なぜなら、その程度の発明は、だれでも思いつく以上、その発明が、科学技術の進歩に貢献していないということになりますので、独占権を与えるほどの価値がありません。

 また、日常的に行われているちょっとした技術的な改良についても独占権が成立するとすると、不自由になるからです。
 この「容易に発明をすることができた」場合を、一般に「進歩性」がないと表現します。

 例えば、次の場合には「進歩性」がないと判断されます。

① 公然と知られた発明や実施された発明を単に寄せ集めたにすぎない発明
② 発明の構成の一部を置き換えたにすぎない発明

③単なる設計事項の工夫の発明

 このように、進歩性判断を一応明確にしておりますが、上述した「単なる」とか、「単に」とか、「すぎない」とかの程度が実は非常にむつかしいのが実際です。

 進歩性の判断は、プロでもむつかしいテーマです。

 

*先願主義

 発明は、新規性と進歩性があれば許可されるかというと、ほかにも要件があります。

 その一つに、いわゆる「早い者勝ち」という要件もあります。

 つまり、同じ発明が庁に提出された場合、先に出願した方を優先する制度です。

 先に出願されていないかどうか(特許法第39条及び特許法第29条の2)については、

 別々の発明者が同じ発明を同時期に完成して、同時期に特許出願をする場合があります。
この場合、我が国では先に発明をした者ではなく、先に特許庁に出願した者に特許を与え
ています。

 現実の社会では、同時期に出願されることがまれではありません。人の発明というものは社会の流れと深く関係があるので、そうなると思われます。

 これをいわゆる「先願主義」と呼んでいます。つまり、出願日を基準にどちらを保護するのかを決める制度です。本来ならどちらが先に発明したかによってどちらを保護するのかを決める方が妥当のように思えますが、その証明が現実には難しいので、出願日で決めています。
 このように、発明をしたらできるだけ早く出願することが大切です。

 出願するためには、多額の費用が掛かりますので、ためらうことももちろんありますが、他方、早い者勝ちということも念頭に置いておきたいものです。

 

*公序良俗に反する発明

 ほかの新規性進歩性先願などの許可要件を満足しても、公共の秩序に反する発明は許可されない(特許法第32条)。

 すなわち、国家社会の一般的な道徳や倫理に反する発明や、国民の健康に害を与えるおそれのある発明は、たとえ産業として利用することができたり、新しいものであったり、容易に考え出すことができないものであっても、特許を受けることができません。

 特許制度が法律の一種であることを考えれば当然のことであり、特許法32条はこのことを規定した物である。
 例えば

 紙幣偽造機械や

 金塊密輸用ベストや

 アヘンを吸う器具等である。

 ただし、用途が特殊な分野に限って、社会に役立つこともある場合は、そのように限定することで許可されることもある。

 アヘンでも、肺がんに有効ということが発見されれば、その用途に限って許可されることはあり得る。

 特許の分野での公序良俗という判断は、商標などと異なり、結構微妙なことが多い。

 

*明細書の要件

 発明は独占権が欲しければ、特許庁にその内容を届ける必要があります。

 その際、その発明の内容を特許庁に審査してもらうためには、明細書や図面といった書類に記載する必要があります(書面主義です)。

 実物、例えば、携帯電話の実物を特許庁へ提出することは認められていません。

 その明細書等には一定の記載規則があります(特許法第36条)。
 したがって、明細書等の記載について、具体的にどのような発明をしたのか、当業者が
実施できる程度に発明の内容を明らかにする必要があります。

 どのような発明なのか分からないアイディアはそもそも審査自体が出来ません。

 できれば、審査官が容易に分かるように記載する必要があります。図面の添付などもそのため重要です。

 そのため、明細書等は技術的に正確かつ簡明に記載する必要があります。

 特に特許請求の範囲が重要です。

 つまり、権利行使できる範囲は、「特許請求の範囲」の記載によって決まります。

 例えば、「鉄のコップ」は、鉄以外の金属を用いたコップに対して権利行使できません。

 一方で、鉄を上位概念化して、「金属を用いたコップ」とすると、あらゆる金属を用いたコップに対して権利行使できます。

 そのように、特許請求の範囲は出来るだけ抽象化することが望ましいです。

 しかし、あまり抽象化すると、発明の効果との関係において、そのような抽象的な内容ではなぜそのような効果を奏しうるのか不明になりがちです。

 むつかしいところです。

 更に、「鉄を用いたコップ」が既に知られている場合には、「特許請求の範囲」の「金属を用いたコップ」という発明は、広いがゆえに、新規性がないとされ特許を受けることができません。

 従って、そのような場合は広い特許請求の範囲を記載しても無駄です。「アルミニウムを用いたコップ」というように記載すべきです。もっともそれで新規性は確保できていますが、進歩性となるとまた難しい感じもあります。

 ここで、「特許請求の範囲」は、発明の内容が明確にわかるように記載するとともに、
「発明の詳細な説明」に記載したものを記載する必要があります。

 例えば、「発明の詳細な説明」に「銅を用いたコップ」の実施例のみが記載されている場合、「金属を用いたコップ」という、広い特許請求の範囲の発明が「発明の詳細な説明」に記載されているとはいえないため、特許を受けることはできません。このような広い特許請求の範囲の発明について、「発明の詳細な説明」に記載されているといえるためには、「アルミニウムを用いたコップ」、「銅を用いたコップ」など、多様な実施例を「発明の詳細な説明」に記載する必要があります。
 また、「発明の詳細な説明」は、当業者がその発明を実施することができる程度に明確
かつ十分に記載する必要があります。

*発明のカテゴリー

 特許法で発明を保護する場合、発明の種類を明確にして、審査と侵害の判断に役立てています。

 つまり、特許法では、発明を「物の発明」と「方法の発明」に大別し、さらに方法の発明として「物を生産する方法の発明」という種別を設けて、発明の「実施」について定義をしています。そして、この発明の3つの表現形式の違いによって特許権の効力の及ぶ範囲が異なります。

 発明はその把握の仕方で表現の仕方が変わってきます。

 特許法は色々の把握の仕方に制約を掛けないと保護の内容が不明確となるため、発明の種類(カテゴリー)を上述のように制限しております。それよって特許権の効力の及ぶ範囲が異なりますので、このカテゴリーを上手に活用して、発明の内容を表現していきます。物にも方法にも発明がある場合には、「物の発明」「方法の発明」の両方で表現できます。

 A. 物の発明の場合の特許権の効力の範囲

 どのような人の行為にも特許権は及ぶわけではありません。強すぎるからです。その物を生産し、使用し、譲渡し、貸渡しし、輸出し、若しくは輸入し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含みます。)をする行為についてだけ、効力が及びます。

 従いまして、その特許権にかかる物を所持しているだけでは効力は及びません。侵害にはなりません。

 B.物を生産する方法の発明

 その方法を使用する行為は勿論及びますが、さらに、その方法により生産した物を使用し、譲渡し、貸渡しし、輸出し、若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為について権利の効力が及びます。これがC.の物の生産を伴わない方法の発明と違うところです。

 C.物の生産を伴わない方法の発明

 その方法を使用する行為について権利の効力が及びます。

 そして、その発明のカテゴリに即して、特許請求の範囲を記載する必要があります。

 もし、それら3つのカテゴリのどれに属するか不明な場合や、複数のカテゴリに属すると解釈される場合は、審査自体が拒絶されます。そもそも、特許権の権利範囲が不明確とならないため、カテゴリを設けているからです。審査の際の不明確さを避けるためでもありますが。

 

*発明の単一性

 特許出願は特許庁で審査されます。

 それには審査官の労働が必要になります。したがって、無料で審査をするわけにはまいりません。

 例えば、テレビの発明、車の発明、医薬の発明など100個も発明が出来たとして、それを一つの出願で出されると、審査官の労働は膨大なものになります。

 そこで、複数の発明を含む出願の条件を規定しております(発明の単一性)(特許法第37条)。出願人の便宜、特許庁の審査の便宜、第3者の調査の便宜の面があります。

 出願人:技術革新の進展により技術開発の成果は、多様な形で密接に関連する一群(複数)の発明から成り立つ場合が多くなっています。これらの技術的に密接に関係する発明は、別々
の出願とするよりも、一つにまとめて出願する方が、出願人においてはコスト的にも出願
手続をする上でも有利となります。

 第3者:また、第三者においては関連する発明の情報が効率的に入手可能となります。

 特許庁:特許庁においては効率的な審査が期待できます。

 しかし、上述したように特許庁にも負担が限度があります。
 そこで、複数の発明が発明の単一性の要件を満たす場合には、これらの発明を一つの願
書で特許出願することができるようにしました。

 「発明の単一性」とは、一つの願書で出願できる発明の範囲をいいますが、この要件を満たしているかは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているかどうかなどで判断されます。

 この単一性の判断は結構複雑であり、審査基準を熟読する必要があります。

 ただし、この要件は上述のように便宜性からきている面が強いので、拒絶の理由にはなりますが、いったん権利が成立した後の無効審判の理由にはしておりません。

 

 

*特許を受ける権利

 発明によって、特許を受ける権利が発生します。

 その特許を受ける権利は、原則として発明者に帰属します。

 また、発明者は名誉権を取得します。

 ここに、特許を受ける権利とは、その発明について特許出願を行い、特許を取得し得るという法的な地位のことです。この出願を行い、さらに許可を求める法的地位のことを「特許を受ける権利」といいます。
 この特許を受ける権利は、発明したことによって原則として発明者に生じますが、職務発明の場合、一定条件の下、法人に発生帰属させることが出来ます。

 このように、特許を受ける権利は発明者に帰属しますので、もし、法人に原始的に帰属させたい場合は、職務発明に該当することを前提として、職務発明については、予め契約を締結し又は就業規則等を作成しておくことで、使用者において、事後に合意がなくとも、特許を受ける権利を取得することができます(特許法第35条3項)。

 なお、平成27年特許法改正前は、発明者に原始的に特許を受ける権利が帰属しておりましたが、平成27年改正特許法第35条3項により、予め契約又は就業規則等で定めることで、特許を受ける権利を法人に原始的に帰属させることが可能になりました。

 この特許を受ける権利は色々な面で重要な働きをします。

 例えば、特許を受ける権利を持たないで出願した場合、冒認出願といって、拒絶になります。また、権利化された場合譲渡というルートもあります。

 また、同じ発明を複数の人がしたばあ、特許を受ける権利はそれぞれの人が持ちますが、出願を早くした人の方が勝ちます。先願主義です。

 

*特許出願の手続き

 特許出願の手続きとしては、出願してから特許庁とのやり取りを経て、許可され特許権が成立します。

 テレビの購入のように、一回の手続きではすみません。国家独占権を付与するかどうかですので慎重に行う必要があるからです。

 特許出願の手続(実用新案、意匠、商標も同様)
 特許出願書類は、特許庁に提出する必要があります。提出の方法は、①パソコンを利用した電子出願手続と、②書面による出願手続があります。
 ① 電子出願
 自宅や会社等のパソコンを使って、特許出願書類等を特許庁へ提出(電子出願)することができます。
 電子出願するためには、インターネットへ接続しているパソコン、所定の認証局が発行する「電子証明書(有料)」を取得し、「インターネット出願ソフト」をパソコンへインストールするなど事前準備が必要です。

 以上の準備を済ませた後、インターネット出願ソフトの申請人情報・証明書管理ツールを起動し、手続者の「識別番号1」と電子証明書の組み合わせを登録する(申請人利用登録)ことで特許庁への電子出願が可能となります。初めて特許庁に出願される方(弁理士・弁護士・特許業務法人・弁護士法人を除く)は、申請人利用登録をすることにより新規に識別番号を取得できます。

 ②書面による出願
 特許出願書類等を書面で提出する場合は、特許庁出願課の窓口(特許庁庁舎1階)に提出する方法と、郵送による方法(なるべく「書留」「簡易書留郵便」「特定記録郵便」をご利用ください。)の2通りの方法があります。

 ◎書面の電子化手数料=基本料金1,200円+(700円×枚数)
 書面の場合は、電子化手数料が更にかかります。

 電子化手数料は、手続1件ごとに上記の料金が必要となります。
 
 電子化手数料の納付は、電子化の事務処理を行う登録情報処理機関「一般財団法人工業所有権電子情報化センター」から送付される「振込用紙」を用いて、郵便局又は銀行で手数料相当額を納付していただくことになります。
 なお、決められた期日を経過しても手数料の納付がなかった場合は、補正命令の手続を経て当該手続は却下されることになります(出願後の各手続においても、原則同様です)。

 オンライン手続きは結構面倒ですので、急ぐ場合、それについて全く分からなくても、書面による出願が出来ますので、便利です。

 また、出願をしただけでは、権利は取れず、審査請求をしないと審査が始まらず、出願から3年以内にしないと取下げと強制的にみなされてしまいます。重要なことです。

 

 

 

 

*国内優先制度とは

 国内優先権制度を利用した出願(特許法第41条)

 すでに出願した発明について、あとから別の改良案を思いついた場合や、実験データの充実が出来た場合など、手続き補正をして、その出願を充実化することがあります。

 しかし、その補正は、ニューマターとなると、拒絶される可能性があり、そのような場合補正内容が却下されてしまいます。それではもったいないので新たに出願をする必要がありますが、その場合、元の出願の内容はすでに特許庁へ提出しているので、新たな出願の日を基準とするのはかわいそうです。

 そこで国内優先出願という制度を導入しました。
 すなわち、すでにされている特許出願(実用新案登録出願)を基礎として新たな特許出願をしようとする場合には、基礎とした特許出願の日から1年以内に限り、その出願に基づいて優先権を主張することができます。

 優先権の主張は、優先権主張書を最先の優先日から1年4月以内に提出することにより行います。また、願書に優先権主張書に記載すべき事項を記載して優先権主張書の提出を省略することもできます。

 このように、この優先権を主張して新たな出願をした場合には、基礎とした特許出願は、その出願日から1年4月(平成27年3月31日までに出願された特許出願にかかる優先権主張の先の出願については1年3月)を経過した時に取り下げたものとみなされますが、新たな特許出願に係る発明のうち、先に出願されている発明については、当該先の出願の時にされたものとみなすという優先的な取扱いを受けることができます。

 実験データが不足気味のときなど使うと便利です。

 ただし、国内優先の主張をし損ねた場合でも、あとからの出願は通常の新規な出願として扱われ、まったく無くなるわけではありません。

 

*分割出願

特許出願の分割(特許法第44条)
 二つ以上の発明を包含する特許出願の一部を、一又は二以上の新たな特許出願とすることができます。

 テレビのアイディアと、車のアイディアを一つの出願で出願した場合、当然単一性を満たさないので、拒絶されます。

 その場合、どちらかを捨てるのはもったいないので、どちらかを別出願で出せるようにしたのが分割出願です。もちろん、別出願でも実際の出願日ではなく、元の出願の出願日が適用され遡及します。

 なお、単一性を満たす場合でも、別アイディアを別出願で分割することも可能です。

 すなわち、特許出願が単一性の要件を満たさない発明を含んでいる場合や、出願当初の特許請求の範囲には記載されていないものの、明細書の発明の詳細な説明や図面に記載されている発明が含まれている場合には、これらの発明に対してもできるだけ保護の途を開く観点から設けられた規定です。

 この新たな出願は、一部の規定の適用を除いて、もとの特許出願の時に出願されたものとみなされます。

 この分割は、もとの特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内、特許査定の謄本送達後30日以内(設定登録前に限る)、及び、拒絶査定の謄本送達後3月以内に限り行うことができます(ただし、特許査定後・拒絶査定後の出願の分割は、平成19年4月1日以降の出願についてのみ可能です)。

 例えば、新しい車を開発した場合、そこには、たくさんのアイディアが詰まっていることが多い。そのような場合、最初の出願に、たくさんのアイディアを詰め込んで置き、一つ一つ別出願でカバーしていくようなやり方もあります。

 

 

*変更出願

出願の変更(特許法第46条、実用新案法第10条、意匠法第13条)
 特許出願と実用新案登録出願及び意匠登録出願は、相互に出願形式を変更することが
できます。ただし、変更出願をすることができるのは、それぞれの出願形態により所定の期間に限られます。

 また、出願の変更がされた場合、もとの出願は取り下げられたも
のとみなされます。

 なお、上述した場合は、出願中の話でしたが、例外として、実用新案登録に基づく特許出願(特許法第46条の2)について、実用新案登録がされた後に実用新案権者は、所定の場合を除き、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができます。

 この特許出願は、その基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされますが、この出願をしたときは、その基礎となる実用新案権を放棄しなければなりません。

 実用新案は、審査がされずに登録されるので、その信頼性は特許権より弱いものです。とりあえず登録を済ませたのち、特許権の方が権利が強いし、存続期間も長いのでそちらに乗り換えることも必要です。そのような場合に使える制度です。

 なお、商標出願との変更出願は出来ません。商標は創造物ではないのに対して、特許、実用新案、意匠はすべて創造物という点で共通しているから、相互の変更を認め、商標との間には変更を認めていないのです。

 

*出願の公開制度

 一般の人が間違い易いのは、特許出願しても自分が秘しておけば永久に世間に知られないと思ったり、逆に出願後すぐに、公開されてしまうと勘違いしている場合があります。

 違います。出願後1年半は秘密にされ、その後は強制的に公開されてしまいます。

 すなわち出願公開とは、特許出願の日から1年6月経過したときに、特許出願の明細書等を掲載した公開特許公報を発行し、出願内容を一般に公表することをいいます。この出願公開は、出願公開前に出願の取下げなどがあったものを除き、原則としてすべての特許出願が公開されます。

出願公開制度(特許法第64条)
 出願公開制度導入前は、審査官が特許出願を審査した後に拒絶の理由を発見しないときは、審査官が特許すべきと判断したものを、出願公告によってその出願内容を一般に公表していましたが、出願件数の増大と技術内容の高度化により、特許審査の処理に時間がかかるようになり、出願内容の公表が遅れがちになりました。このため、同じ技術を重複して研究し、重複した出願がなされるという弊害が生じました。

 そこで、こうし出願公開とは、特許出願の日から1年6月経過したときに、特許出願の明細書等を掲載した公開特許公報を発行し、出願内容を一般に公表することをいいます。この出願公開は、出願公開前に出願の取下げなどがあったものを除き、原則としてすべての特許出願が公開されます。
 昭和46年から出願公開制度を導入しました。特許出願の内容は出願の日から1年6月を経過しますと審査の段階のいかんにかかわらず「公開特許公報」(毎週木曜日発行)に掲載され、広く一般に公表されます。
 公開特許公報(特許法第64条第2項)
 公開特許公報のフロントページ(第1ページ)には、出願人名等の書誌的事項と発明の要約と代表図等が掲載され、次ページ以降に特許請求の範囲及び明細書の全文並びに必要な図面が掲載されます(フロントページについては、Ⅲ参考編 2.公開特許公報(見本)参照)。ただし、特許庁長官が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認める部分(広告宣伝記事など)については掲載されません。
 この公開特許公報は、独立行政法人工業所有権情報・研修館公報閲覧室で自由に閲覧できます。また、独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する特許情報プラットフォームJ-PlatPat)でも御覧になれます。
 出願公開の請求(特許法第64条の2)
 特許出願人は、その特許出願が(ⅰ)出願公開されている場合、(ⅱ)パリ条約による優先権等の主張を伴う出願で証明書が提出されていない場合、(iii)外国語書面出願で外国語書面の翻訳文が提出されていない場合を除き、その特許出願について出願公開の請求をすることができます。
 出願公開の請求をすると特許出願の日から1年6月の経過を待たずに出願公開されます。ただし、以下の3点については注意が必要になります。①出願公開請求書の提出後に、出願が放棄若しくは取下げ又は拒絶査定が確定した場合も出願公開は行われます。
 出願から1年4月以内であっても、要約書の補正はできません。

 この出願公開の請求は取り下げることができません。

 公開された発明は未だ審査がされていないので、侵害に対する損害賠償請求権など発生しません。しかし、補償金請求権(特許法第65条)という制度があります。
 すなわち、出願公開されると、発明の内容が一般に公表されますので、公衆の利益にはつながりますが、出願人にとっては他人に模倣される危険が高まります。そこで、出願人が出願公開された特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をした後、特許権の設定登録までの間に業としてその発明を実施した者に対して、その発明が特許されていたとした場合に実施料相当額の補償金の支払いを請求できる「補償金請求権」を出願人に認めています。
 しかしもちろん当然にこの権利は発生せず、補償金請求権は、特許権の設定登録後でなければ行使することはできません。審査を経ていないからです。

 

 

*出願審査請求について

 多くの素人の方が誤解されいることの一つに審査請求という制度があります。

 出願すれば自動的に審査されると勘違いされている方が多いのです。商標出願や意匠出願はその通りですが、また、実用新案は審査自体が無いのですが、特許出願については、別個特別な手続きである審査請求の申請をしないと意味がありません。

 つまり、特許出願した発明が特許になるかどうかは、特許庁の審査官による実体審査を経て判断が下されます。この実体審査の手続に入るためには、出願日から3年以内に「出願審査請求書」を提出しなければなりません。

 出願審査の請求
 特許出願された発明が、特許として登録されるかどうかは、特許庁の審査官による「実体審査」で判断されます。この実体審査はすべての特許出願に対して行われるのではなく、「出願審査の請求」があった出願だけが審査されます。方式審査は自動的に行われますが。
 先願主義を採用しているため、出願を急ぐあまり出願後に必要性がないことに気づいたり、状況の変化により出願を維持する必要性がなくなったりすることもあります。したがって、出願と同時に出願審査の請求をすることもありますが、先願の技術内容が公開特許公報に掲載されるのを待って改めて特許性の有無を確認し、特許を取得して事業化するだけの価値があるか否か等をよく確かめてから出願審査の請求をすることが経済的といえます。
 出願審査の請求期間
 出願した日から3年以内に、「出願審査請求書」を特許庁に提出しなければなりません(Ⅱ様式編 1.特許(6)出願審査請求書 参照)。この期間内に出願審査の請求がなかったときは、その特許出願は取り下げられたものとみなされます。

 また、この出願審査の請求は、特許出願人だけではなく第三者も行うことができます。

 なお、平成27年4月1日以降に取り下げられたものとみなされた特許出願であっても、特許出願人について、3年以内に出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由がある場合には、その理由がなくなった日から2月以内で3年経過後1年以内に限り、出願審査の請求をすることができます。期間徒過後の救済に係る手続の詳細等については,特許庁ホームページを参照してください。
 審査請求料
 出願審査の請求をするためには、以下の手数料が必要となります(Ⅲ参考編 1.産特許出願した発明が特許になるかどうかは、特許庁の審査官による実体審査を経て判断が下されます。この実体審査の手続に入るためには、出願日から3年以内に「出願審査請求書」を提出しなければなりません。財産権関係料金一覧 参照)。
 118,000円+(請求項の数×4,000円)

 非常に高いですが、特許庁の審査官の労力を使う以上そうなっています。庁の予算は独立会計制ですので。
 ただ、喜ばしいことに、審査請求料について、その手数料を減免する措置があります(第6章 各種支援策の概要 第1節 審査請求料・特許料の減免制度 参照)。
 さらに、平成16年4月からは出願審査の請求を行った後において、審査官による実質的な審査が一応終了していない段階で、特許出願が放棄され、又は取り下げられたときには、放棄又は取り下げの日から6月以内に審査請求料を納付した者の請求により、審査請求料の半額が返還されることとなりました(特許法第195条第9項)。

 全額返還を望みたいところです。それほど件数は多くないのですから。
 なお、返還の手続は、予納制度を利用して返還することも可能です。

 

*方式審査への対応

 出願されますと、特許庁は方式をチェックします。

 この方式審査では、出願書類や各種手続が法令で定められた方式要件に適合 しているか否かがチェックされます。 また、出願人の資格や必要な手数料の納付に関する審査も行われます。

 特許出願は先願主義ですので、どうしても一日でも早く出すことを目指すため、方式が間違うことがあります。万全を期すのが望ましいですが、そのため何週間も出願が遅くなるのは考え物です。

 しかしながら、法律行為ですので、特許出願やその後の各種手続等の作成様式や提出期間については、特許法等関係法令に細かく規定されています。

 従って、手続を行う際には、決められた様式等に従って書面を作成しなければなりません。実際になされた手続が当該各法令の規定に適合しているか否かを審査する必要があります。

 この審査をすること、すなわち手続が「その根拠たる法律」又は「その法律に基づく命令」で定める方式要件に適合しているか否かを審査することがこの方式審査です。

① 不適法な手続の却下(特許法第18条の2)
 方式審査の結果、次のような条件に該当する場合には、手続が却下されることになり方式審査では、出願書類や各種手続が法令で定められた方式要件に適合しているか否かがチェックされます。この却下は救いようがないので怖いものです。

 このようなことはいくら先願主義といい急ぐべきといっても、却下されてしまっては何にもなりません。
 
<出願手続における不適法な手続であって、その補正をすることができないものの例>
 1)いずれの種類の出願であるか不明な出願をしたとき。
 2)出願人の識別番号及び氏名(名称)のいずれも記載されていない書面をもって出願
をしたとき。
 3)日本語で書かれていない書面をもって出願したとき(特許法第36条の2第1項で
規定するものを除く)。
 4)在外者が日本国内に住所(居所)を有する代理人によらないで出願したとき。

   外国人はこのことを知らない人が多いです。

 5)明細書及び特許請求の範囲を添付しないで特許出願をしたとき等々。

 なお、却下となるような場合には、事前に却下の理由が通知され弁明の機会が与えられます。また、その後却下処分がされた場合には、処分の取り消しを求める不服申し立て、さらには訴訟を提起することができます。

 しかし、却下は簡単には覆すことは出来ないと思った方がよいです。そのためにも、慎重に出願していくべきです。そのために弁理士が要るともいえます。

② 手続の補正命令(特許法第17条第3項)
 却下とならないまでも、方式要件を満たしていない手続は、正しく記載するよう手続の補正が命じられますので、指示に従って補正を行う必要があります。
 なお、補正をしなかった場合には、補正の対象とされた手続自体が却下されることになりますので、こちらも注意が必要です。

 この場合は、何とか助けてもらうように補正で頑張る余地があります。

 却下は全然ダメという判断がされた場合なので、よほどのことが無いと救われません。

 

 

*実体審査への対応

 方式審査をクリアし、その後、出願審査請求がなされた出願は、審査官によって特許になるかどうかの実質的な審査が行われます。これを「実体審査」といいます。

 国家独占権を付与してよいかどうかを判断するところですので、結構厳しく審査されます。

 ほかの土地登記などと違い、条件さえ満たせば許可するとは言い切れないほど難しい問題がたくさん生じます。

 実体審査においては、特許庁の審査官が、出願された発明が「特許を受けることができる発明」の条件を満たしているか否か、すなわち、拒絶理由(特許法第49条に列挙されています)がないかどうか調べます。審査官は、拒絶理由を発見しなかった場合には、審査段階での最終決定である特許査定を行います。
 一方、審査官が拒絶理由を発見した場合、すなわち特許査定できないと判断した場合は、そのまま最終決定である拒絶査定をするわけではなく、まず拒絶理由通知書を送り、特許査定できないことを出願人に知らせ、これに対する出願人の意見を聞きます。

 つまり、出願人に対して、例えば、拒絶理由通知書で進歩性が無いと指摘された場合は、そこに示された従来技術と自分の発明との違いを主張する意見書で反論し、あるいは、特許請求の範囲や明細書等を補正する手続補正書を提出して、反論します。

 この反論のところで、弁理士事務所の力の差が出やすいところです。

 意見書や手続補正書をみても、拒絶理由が解消されておらず、やはり特許査定できないと審査官が判断したときに、初めて拒絶査定されます。
 拒絶査定を受けた者が、これに不服があるときは、審判によってその是非を争うことができます。争わないときは拒絶査定が確定します。

 上述した拒絶理由通知(特許法第50条)とは:
 実体審査の段階で審査官が審査をした結果、前述した拒絶理由に該当すると判断した場合は、即座に拒絶査定をするのではなく、あらかじめその旨を出願人に通知することとしています。これを拒絶理由通知といいます。
 通知される拒絶理由の大半は、先行技術が記載されている文献が引用例として提示され、発明として新しくない、あるいは容易に考えられる発明であるとする「新規性進歩性の欠如」に関するものや、明細書等の「記載不備」に関するものです。
 拒絶理由が通知されると、指定期間内(国内居住者60日、在外者3月)に意見を述べる機会が与えられますから、必要な場合には意見書や手続補正書を提出して対処します。この対処を怠るとほとんどの場合、拒絶査定がなされてしまいますから注意が必要です。

③ 意見書の提出
 意見書とは、出願人の意見を述べ、審査官の拒絶理由に対して反論するための書類をいいます。
 例えば、通知された拒絶理由が新規性・進歩性の欠如を理由としている場合は、主としてその特許出願の前に公開された特許公報類が引用されていますから、これら刊行物を取り寄せて、自分の発明との違いなどを検討します。

 そして、もし両者が異なっていると考える場合には、新規性がありますが、どのような点で異なっているのかについて論理的かつ具体的に述べます。この新規性があることの反論は比較的容易です。

 しかし、進歩性が無いとの指摘に対しては反論はむつかしくなります。例えば、従来技術の組合せであると指摘された場合には、その組合せを着想することが当業者にとって必然性がなく簡単には思いつかないこと、自分の発明によって今までにない優れた作用効果が得られたことなどを反論として主張します。ここはここの弁理士の能力が試される場面です。

 なお、特許請求の範囲などの明細書等を補正した場合には、出願当初の明細書等のどの記載を根拠に補正したのか補正の根拠を意見書で明らかにするとともに、補正後の特許請求の範囲の発明に基づいて意見を述べます。
手続の補正(特許法第17条の2)
 拒絶理由の通知を受けた場合に、その拒絶理由を解消するために、明細書等を補正する必要が生じる場合があります。例えば、特許請求の範囲が広すぎる場合には、拒絶理由に引用された文献に記載されている発明を特許請求の範囲から削除したり、あるいは補正によって引用発明との差異を明らかにしたりします。

 また、明細書等の記載に誤記など不備があると指摘されたら、その不備が解消されるように補正をします(Ⅱ様式編1.特許(9)手続補正書 参照)。
 補正は、出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内においてしなければなりませんので(いわゆる、新規事項の追加は認められません)、補正の際には出願当初の明細書等に記載された範囲から逸脱しないように補正を行います。

 一方、最初の拒絶理由を回避するための補正をしても、補正後にさらに拒絶の理由があれば、再度拒絶理由が通知されます。そして、その拒絶理由通知が、補正によって変更された内容について改めて審査を行った結果通知されるものである場合、それを「最後の拒絶理由通知」といいます。最後の拒絶理由通知が発せられると、特許請求の範囲の補正は、すでに行われた
 審査の結果を有効に活用できる範囲に収めなければならないという制限が加わります。
 なお、補正によっても先に示した拒絶理由が解消していないときには、拒絶理由通知が「最初」のものであるか「最後」のものであるかにかかわらず、拒絶査定がなされます。

 

*特許権の効力

 特許権の効力とは?

 特許権者は、業として特許発明を実施する権利を専有することができます。専有とは排他権を意味し、特許権者だけが業として特許発明を実施することができ、ほかの人が業として特許発明を実施することはできません。例外はあります。

 ここでいう「業として」は、広く「事業として」の意味であり、営利目的に限らず、公共事業、公益事業も含まれます。なお、個人的な実施や家庭内の実施については該当しません。したがって、個人的な実施や家庭内の実施しかありえないアイディアは出願するに値するかどうか慎重に検討する必要があります。

 また、「実施」とは特許法第2条第3項に規定する行為を意味します。

 特許発明の技術的範囲の定め方(特許法第70条)

 上述のように、無断で他人の権利範囲の特許発明を実施すれば、特許権を侵害することになります。

 その際その特許発明の独占が認められる範囲(技術的範囲)が重要となりますが、それは、特許請求の範囲の記載に基づいて決定されます。たとえ、明細書に記載されていても、特許請求の範囲に記載されていないものは技術的範囲には含まれません。
 また、特許請求の範囲の用語の意義は、明細書や図面を考慮して解釈します。さらに、解釈に当たっては、出願経過や公知技術も参酌される場合があります。
 
 特許権の効力については例外があります。

 特許権は強力な権利であり、その特許発明の実施を独占することができるものですが、特許権の効力が及ばない範囲があります。また、特許権者の意思にかかわらず他人がその特許発明を実施してもよい場合や、自己の特許発明でありながら実施できない場合もあります。
 ① 特許権の効力が及ばない範囲(特許法第69条)
 技術の進歩、国際交通等に関する配慮から、以下のような場合には権利の効力が及びません。
  1)試験又は研究のためにする実施
  2)単に日本国内を通過するに過ぎない船舶、飛行機等
  3)特許出願時から日本国内にある物
  4)医師、歯科医師の処方箋により調剤する行為又は調剤する医薬
 ② 法律の規定に基づき他人による特許権の実施が認められる場合
 特許法では特許権者の意思にかかわらず、他人によるその特許権の実施が認められる場合があります(法定実施権)。例えば、職務発明の使用者による実施(特許法第35条)、先使用(特許出願の際現に日本国内においてその実施又は準備をしていること。)に基づく実施(特許法第79条)などが挙げられます。
 また、特許発明の不実施、利用・抵触関係、公共の利益のいずれかを理由として裁定実施権が設定された場合には、特許権者は、その実施権者に対して侵害であるということはできません。
 ③ 自己の特許発明でありながら実施できない場合
 例えば、ある装置の改善をした者がその発明について特許権を取得した場合においても、そのもとの装置を発明した者も特許を得ていることがあります。このような場合、もとの発明を実施しなければ自分の装置の生産等もできないという利用関係になりってしまいます。

 特許権を得たにもかかわらず、もとの特許権者の承諾なしには、自分の特許発明も実施することができないことになっています(特許法第72条)。

 それなら特許権を付与しなければいいとも言えますが、現在の特許制度はそうなっています。

 常識的に判断していると間違い易いところです。したがって、無断で実施すれば権利の侵害となります。
 また、専用実施権を設定した場合にも、特許権者はその設定範囲で実施を制限されることとなります(特許法第68条ただし書)。

 なお、通常実施権を設定した場合は、そのような制限は受けません。

 

*手続補正について

手続の補正(特許法第17条の2)
 実体審査の結果、拒絶理由の通知を受けた場合に、その拒絶理由を解消するために、明細書等を補正す
る必要が生じる場合があります。

 例えば、特許請求の範囲が広すぎる場合には、拒絶理由に引用された文献に記載されている発明を特許請求の範囲から削除したり、あるいは補正によって引用発明との差異を明らかにしたりします。

 また、明細書等の記載に誤記など不備があると指摘されたら、その不備が解消されるように補正をします。
 補正は、出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内においてしなければなりませんので(いわゆる、新規事項の追加は認められません)、補正の際には出願当初の明細書等に記載された範囲から逸脱しないように補正を行います。

 この原則が無いと、出願後いくらでもアイディアを追加できることになり、先願主義が崩壊してしまうからです。

 一方、最初の拒絶理由を回避するための補正をしても、補正後にさらに拒絶の理由があれば、再度拒絶理由が通知されます。

 更に、その拒絶理由通知が、そのような補正によって変更された内容について改めて審査を行った結果通知されるものである場合、それを「最後の拒絶理由通知」といいます。

 その「最後の拒絶理由通知」が発せられると、特許請求の範囲の補正への制限が強くなります。すなわち、すでに行われた審査の結果を有効に活用できる範囲に収めなければなりません。

 なお、補正によっても先に示した拒絶理由が解消していないときには、拒絶理由通知が「最初」のものであるか「最後」のものであるかにかかわらず、審査官としての最終的な判断となる拒絶査定がなされます。これ以降は審査官は原則審査しなおしはしません。審判官にバトンタッチします。
 また、審査が行われた後に、審査対象の発明を発明の単一性の要件を満たさない別発明へと補正することは認められませんので、特許請求の範囲の補正は、補正前後の発明が発明の単一性の要件を満たすように行います。

*特許請求の範囲の機能

 審査を経て権利範囲を確定させる機能を有する書類。

 特許権が及ぶべき範囲(特許発明の技術的範囲)は特許請求の範囲の記載に 基づいて定められる。
 出願人は、明細書に記載された複数の発明の中から権利の取得を目指す発明 を選択して特許請求の範囲に記載し、審査負担に見合った料金を支払って審 査を受けることができる。

 審査負担の軽減及び出願の取り扱いの公平性の観点から、特許請求の範囲に 同時に記載することができる発明は、共通の技術的特徴を有する範囲に制限 されている(発明の単一性)。

 技術内容開示機能及び出願日を確保する機能を有する書類。
 明細書の記載によって、発明の技術内容は、発明の属する技術分野の通常 の専門家がその実施をできる程度に開示される。

 最終的に権利取得するかどうかにかかわらず、明細書に記載された全ての 発明に関し、新規性・進歩性についての判断の基準となる日として出願日 が確保される。